こんにちわ、新庭(@araniwakon)です
今回はストーリーのジャンルについての話です。
ジャンルを意識することで、あなたの物語がとても良くなることを約束します。
私の小説、ジャンルは「異世界ファンタジー」です
と言う方もいるかと多いことでしょう。
ですが、今回はそういった「ファンタジー」「SF」「ミステリ」という大枠のジャンルの話ではありません。
ジャンルについての意識を変えてみてください
いやいや、ジャンルってそういうものでしょ?
と思われる方もいるでしょう。
もちろん、それもジャンルですが、今回はストーリーの本質を踏まえた上でのジャンルを解説します。
今回の話で、ジャンルについての意識を再確認してもらえればと思います。
間違いなく、ストーリーを見る目が変わるはずです。
ジャンルについて
そもそもジャンルって何?
ジャンルとは、ある特徴をもとに客観的に分類したもの(カテゴリ)を言います。
「アクション」「ホラー」「冒険」「ドラマ」「ファンタジー」「SF」「ミュージカル」「ドキュメンタリー」「ミステリ」「スポーツ」などは、すべてジャンルになります。
作品などを分類してカテゴリ分けしたものです。
ですので「異世界ファンタジー」も当然ながらジャンルになります。
ですが、待ってください。
こういったカテゴリ分けだけがジャンルだと考えるのは、もったいありません。
ストーリーの構成からも、ジャンルを考えることができるからです。
ストーリー構成のジャンルについて考えましょう
これを意識することで、あなたの小説はグンと良くなります。
なぜストーリー構成のジャンルなのか
構成をジャンル分けして、それを土台に小説を書きましょう。
そうすることで、小説がぐっと良くなり、また、書きやすくなります。
なぜなら、ストーリーには型があるからです。
その型をベースに物語を構築すると、構成しやすくなります。
また、途中で方向性を見失っても軌道修正しやすくなります。
必要なシーンや、書くべき事柄も意識することができます。
そして、何よりも大事なのが「類似の作品を知ることで、自作にひねりを加えることができる」「類似の作品から、プロットや登場人物のヒントをもらうことができる」ことでしょうか。
良い物語を書くためには、自分の書きたい物語がどのストーリージャンルなのかを理解し、他作品から学ぶ必要があります。
そのために、ジャンルを理解するのです。
その型を、10個のジャンルで説明します
ブレイク・スナイダーによる10のジャンル
ご紹介するのが「SAVE THE CATの法則」という脚本術の指南書です。
有名な本なので、読んだことある方もいることでしょう。
めちゃくちゃ良い本で、物語を書くために良い情報がたくさん書かれています。
私はいつもこの本を参考にしています
筆者によると、ストーリーを分類すると10個のジャンルに分けられるそうです。
それがこの10個です。
どんな物語も、この10個の型で説明ができると筆者は言います。
今回は、これらを紹介いたします。
家のなかのモンスター
このジャンルには、二つの構成要素がある。一つはモンスター、もう一つは家だ。さらにモンスターを殺したがっている人間を加えると、どこの国でも誰にでも通じる話、言い換えれば<原始人にだってわかる>ストーリーになる。
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
モンスターに襲われるような物語は、これに該当します。
簡単に言えば「閉じられた場所での死の危険」でしょうか。
捕まったら殺されるという、誰にでもわかる原始的なルールの物語ですね。
- 逃げ場のない空間(家)であること
- そこで犯罪が起きてモンスターが生まれる
- モンスターは復讐しようとする
- 罪に気づいた人間はおおめに見る
- それ以外の人間を襲う
- 襲われる人間は、走って逃げて隠れる
「13日の金曜日」「ジョーズ」「エイリアン」という作品がこれですね
「家のなかのモンスター」については、こちらでポイントを紹介しています。
金の羊毛
何かを求めて旅に出るストーリーは、原始人が焚き火を囲んでいた頃から、最も人気のあるストーリーの一つだし、これからもそうだろう。もし君が<ロードムービー>的なものを書きたいと思っているのなら、この≪金の羊毛≫というジャンルのルールを知っておいた方がいい。
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
何かを求めて旅に出るというストーリーがこれです。
主人公が旅の中で経験をし、最終的に大きく成長するといったストーリーです。
- 主人公は何かを求めて旅に出る
- 旅の途中で人々と出会い、色んな経験をする
- 経験はすべて主人公を成長させる要素である
- 主人公の成長がテーマになる
- 最終的に発見するのは自分自身
「スター・ウォーズ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「オズの魔法使い」がこれに該当しますね
「金の羊毛」については、こちらでポイントを紹介しています。
魔法のランプ
この手のストーリーがよく作られるのは、そういう願望が誰の心のなかにもあるからだ。おそらくアダムとイブの頃から人間はみな「~があったらいいのに」とつぶやいている。それに夢や願いが叶うのは気分がいいし、原始人でもわかるくらい単純で理解しやすいので、次々に作られ、しかもヒットするのである。
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
主人公の願いが叶いますが、物語を経て、主人公が本当に大事なものに気づく、といったストーリーです。
- 主人公はシンデレラのように同情を誘う人物である
- 主人公の願いが叶う
- 願いが叶うことによって人生が変わる
- しかし、願いが叶ったとしても、手に入れられないものがある
- 最終的に、普通の人間が一番だと気づき、元に戻る
これの逆バージョンも可能です。
- 主人公は一度こらしめた方がいい人物
- 主人公に天罰がくだる
- 天罰がくだったことで、今まで通りうまくいかなくなる
- 窮地を脱するため、自らを変えていく必要がある
- 自分が変わったことで、一番欲しかったものを手に入れる
「アラジン」「マスク」「ジュマンジ」「ライアーライアー」「ブルース・オールマイティ」といった作品です
「魔法のランプ」については、こちらでポイントを紹介しています 。
難題に直面した平凡な奴
このジャンルの定義はこうだ。<どこにでもいそうな奴が、とんでもない状況に巻き込まれる>。つまり、自分に起こりうると観客が思うストーリーの一つなのだ。観客はたいていが自分が普通の人間だと思っている。だから同じように普通の人間である主人公がそんな状況に追い込まれると、ついつい同情してしまう。
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
主人公が平凡でありながら、大きな困難に立ち向かうといったストーリーですね。
- 主人公は平凡である
- 主人公に難題がふりかかってくる
- 難題は大きければ大きい方がいい
- 主人公と敵対する大悪党(悪ければ悪い方がいい)が必要
- 主人公は自らの個性や知力を駆使して、何倍も強力な敵に立ち向かう
- 主人公は勝利する
「ディープ・インパクト」「エネミー・オブ・アメリカ」がこれに該当します
「難題に直面した平凡な奴」については、こちらでポイントを紹介しています。
人生の節目
こういったつらい思い出には誰もが共感する。なぜなら人間誰だって、人生の節目に何かしらつらい経験をしているものだから。しかもそういう時期は精神的に敏感だから、印象もことさら強烈なのだ。これこそまさに人間らしいストーリーであり、観客の心を揺り動かし、ときには大笑いさせるストーリーなのだ。
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
人生では、誰もが大きな困難に直面します。
受験であったり、就職であったり、誰かの死であったり。
そういったストーリーですね。
- つらく苦しい経験は、人生という名の力によることが多い
- 人生には、目に見えない、理解しがたいモンスターが襲ってくるときがある
- 主人公はつらい経験から、解決策を見いだす
- 主人公は人生を受け入れ、勝利をおさめる
- 人生ってこういうことだ、と理解する
「失われた週末」「酒とバラの日々」といった作品です
「人生の節目」については、こちらでポイントを紹介しています。
バディとの友情
映画以前のフィクションでは、主人公は一人で心のなかをつぶやくか、心理描写があるだけだった。でも<もし>主人公に話のできるバディ(相棒)がいたらどうだろう?
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
主人公とバディ(相棒)とのストーリーです。
友情(愛情)は誰だって理解できる原始的な感情です。
- 主人公にバディ(相棒)を用意する
- バディとの友情といっても、ラブストーリーにもなりうる
- 最初、お互いを嫌っている
- 徐々にお互いの存在を理解していく
- 二人そろって始めて完結した存在になることに気づく
- それを認めない葛藤が生まれる
- 二人は喧嘩別れをする
- 最終的に、お互いを必要としていることに気づく
「タイタニック」「美女と野獣」が例に挙げられます
「バディとの友情」については、こちらでポイントを紹介しています。
なぜやったのか?
人間の心のなかには邪悪なものがある。誰でも知っていることだ。貪欲さが高じれば殺人が起きる。まさに目に見えない邪悪なもののせいだ。そういう場合、興味深いのは<誰が>やったのか?よりも<なぜ>やったのか?である。
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
ミステリやホラーで多いですね。
人の心の闇を描くというストーリーです。
- 主人公の変化を描くものではない
- 犯罪が事件として明るみに出たとき、人間の邪悪な性が暴かれる
- 予想もしなかった暗く醜い何かが暴かれる
- 観客を人間の心の闇へと連れて行く
- 真相を突き止めるのは観客自身
「チャイナタウン」や「ミスティック・リバー」ですね
バカの勝利
<バカ>は、神話でも伝説でも、重要な登場人物だ。表面的には単なるバカなまぬけ者に見えるが、実は最も賢い存在なのである。一見負け犬に見えるのでみんなに見下されているが、逆にそのおかげで<バカ>は最終的に光り輝く勝利を手に入れるチャンスに恵まれる。
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
アウトサイダーの人生ですね。
こういったアウトサイダーが勝利すると、観客も自分のことのように勝利した快感を味わうことができます。
- 主人公は、バカな負け犬である
- 主人公が成功するとは誰も思っていない
- 主人公に対して、大きな権力のある悪者(組織)が存在する
- 主人公は運と勇気を持ち、どんな時も諦めない
- 主人公は最終的に勝利を掴む
「フォレスト・ガンプ」は私も大好きです
組織のなかで
人間は一人では生きていけない。けれど集団になると、多数派の目的を叶えるために、少数派の目的は犠牲になることもある。一長一短なのだ。≪組織のなかで≫は、集団や組織、施設、<ファミリー>についてのストーリーを扱うジャンルである。
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
人は集団で生活する生き物です。
そんな集団の中で、自分らしさにどう向き合っていくのか、という話ですね。
- 主人公は自分の属する組織に誇りを感じる
- 一方で、組織の一員として生きるために自分らしさを失う
- 集団として生きるということはどういうことかを描く
「アメリカン・ビューティー」はすごくおもしろいですよ
スーパーヒーロー
《スーパーヒーロー》というジャンルは、《難題に直面した平凡な奴》の対極にあり、正反対の定義が当てはまる。超人的な力を持つ主人公が、ありきたりで平凡な状況に置かれるのだ。
「SAVE THE CATの法則」ブレイク・シュナイダー フィルムアート社
主人公がヒーローでありながら、平凡な状況に置かれます。
主人公はすごい能力を持っていますが、それを周囲の人が理解してくれません。
人とは違うということがどういうことかを描くストーリーです。
- 超人的な力を持つ主人公が、平凡な状況に置かれる
- 周囲の人間たちの心の狭さのせいで問題が起きる
- ヒーローは周囲の人間から理解されない
- 人とは違うことがどういうことかを描く
- 能力を妬む凡人と向き合うとはどういうことかを描く
「スパイダーマン」「スーパーマン」などですね
「スーパーヒーロー」については、こちらでポイントを紹介しています。
まとめ
以上、ストーリーから見た10ジャンル分けでした。
今回、一番伝えたかったことが、同じジャンルのストーリーを勉強しようということです。
「ライトノベルを書きたいからライトノベルを勉強する」ことももちろん重要ですが「○○なストーリーラインの物語を書きたいから、同ジャンルのストーリーを勉強する」ことも大事だと理解してください。
物語を作るためにも、型を知ることは大事です
まず、自分がどのストーリーを書こうとしているのかを考えてください。
そして、同様のジャンルにある作品のプロットやキャラクターを参考にしてみましょう。それら作品の型を勉強してみてください。
どれも似たストーリーラインになっていることが理解できるはずです。
コメント