「藤田先生のミステリアスな一年」は読後感が爽やかな良ミステリ

読書
新庭紺
新庭紺

こんにちわ、新庭(@araniwakon)です

今日は読書感想として、「藤田先生のミステリアスな一年」を書いていきます。

鮎川哲也賞の佳作を受賞の本作。

本格推理13を読んで、とてつもなく気に入った作者がいたので、その人の本を手に入れて読みました。
期待通りの良い本でした。鮎川哲也賞の佳作。1995年初版の作品ですね。これが二十年以上前の作品とは恐れ入った。

【簡単なあらすじ】
6年1組の担任だった藤田先生は、かつて、様々な「魔法」のような形で、クラスのみんなの悩み等を解決していた。大人になった主人公たちは、藤田先生が病院に入院したという話を聞き、集まり、かつての魔法を思い出す。空っぽの教室にたくさんの絵を出現させた「千枚の絵の出現」、クラス全員の願いを言い当てた「七夕の奇跡」、入ったら出られないという「樹海の脱出」、ひらけた場所に登場させた「サンドイッチの魔法」、生徒達の不幸を煙のように消してしまった「インディアンの伝説」。藤田先生は答えを教えてくれないため、主人公達はそれらの謎を独自に解き明かそうとする。その中で主人公は、なぜ藤田先生は魔法を使った教育を行っていたのかも疑問に思っていく。

【読了時間】
約3時間

【読んだ感想】
一気に読み終わってしまいました。

いやー、わくわくしました。
謎が最初に全部提示されて、それを一つずつ解き明かしていく、という感じなのですが、それを追っているうちに、別の謎が登場するという。最終的にはすべての謎が明らかになるのですが、どれもこれもまったく自分には思いつかなかった流れで、とても気持ちよく読み終わることができました。

読後感が素晴らしい。
この作者の物語が、自分にめちゃくちゃ適合しているような、そんな気がします。

ただ、自分がすごいと思ったのは、どれもかれも、しっかりとしたテーマがそこにはあって、余韻が素晴らしいところですかね。
おまけに、人が死んだりとかするようなものでもなく、良い話で終わります。すごくいい。

作者の他の作品もぜひ読みたいという気持ちになってきました。

文庫本とかになってないんですね。
こういう作品は、もっと評価して欲しいと思うんですがねえ。
残念です。

【自分が感じた見所】
・テーマがすごく良かったです。一貫したテーマが、どしんと物語を支えています。
・伏線きっちりと回収してて、良かったです。
・最初に提示した謎だけかと思ったら、根幹になるような謎もちゃんと出してくれて良かった。

【こういう人におすすめしたい】
・人が死なないミステリを読みたい人
・良い話だな、と思いたい人

【この小説から学んだこと】
・悪意がないミステリだって面白い
・テーマがしっかりしていると、読後感がとてつもなく良い

【個人的な好み度】
★★★★☆

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