こんにちわ、新庭(@araniwakon)です
最近、知人がみんな口をそろえて、
「大誘拐はすごい」
「大誘拐ほどの誘拐物は書けない」
「誘拐といえば大誘拐を思いつく」
と言うものなので、私も大誘拐を読んでみました。
その結果、読み終わった瞬間に、
傑作!
としか私は言えなかったので、ご紹介します。
この作品は、天藤真先生が1978年に発表した推理小説となります。下記のような評価をされており【人が死なない傑作ミステリ】と呼ばれてもいます。
・第32回日本推理作家協会賞を受賞
・週刊文春ミステリーベスト10の20世紀国内部門第1位
1991年には 「大誘拐 RAINBOW KIDS」というタイトルで 映画にもなっており、刀自を演じた北林谷栄は、第15回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞しています。
【簡単なあらすじ】
大阪の刑務所で出会った三人の男たちが、犯罪は割に合わないと思うも、人生を立て直すにはまとまった金が必要だとして、誘拐を企てる。その誘拐の対象となったのが、和歌山の大富豪である老婦人の柳川とし子刀自である。
三人は力を合わせ、刀自を誘拐し、身代金を五千万とした。
しかし「私はそんなに安うないわ」と額の小ささに腹を立てた刀自は、身代金を百億につり上げてしまう。
狼狽する三人は、刀自の口添えもあり、警察相手に百億を奪おうと話を進める。
この誘拐劇の結末はいかに。
【読了時間】
約5時間
【読んだ感想】
面白い以外の感想が出てきません。
主人公たちが身代金を百億につり上げられてから、刀自に振り回されっぱなしで、刀自VS警察という構図が出てきます。
なぜ刀自は、自分を誘拐した犯人たちの味方をするのか、というところがこの話の肝なのですが、読み進めていくうちに、刀自の考えがどんどん明るみに出ていきます。
百億を現金で運ぶというのは、物理的にもものすごい量で、警察に捕まることなくどうやって受け渡しを行うのか、というところも見所たっぷりです。
また、途中から、日本中を巻き込む話になっており「老い先短い老婆のために百億も払うべきではない」という世論をも巻き込んで、スケールが非常に大きくなっていきます。
最終的に、どう決着がつくのか、ハラハラしっぱなしでしたが、ラストの刀自の心中を見た時が、この物語の一番のクライマックスだったと感じさせられました。
出版から41年が経とうとしていますが、今読んでも、傑作としか思えません。
もちろん、現代の日本では成立しえない誘拐劇ですが、そこが特に、当時の時代背景も踏まえて、素晴らしいものになっていると思います。
これは絶対に読むべき傑作で、最高のエンターテインメントであると私は断言します。
ちなみに刀自というのは、作中でも明らかになりますが、中年以上の婦人へ尊敬してつける言葉ですね。様、みたいなものですかね。
【自分が感じた見所】
・展開がとてつもなくスピーディー
・キャラクターが全員魅力的であり、特に刀自が素晴らしい。主人公が犯罪者だというのに、憎めない。むしろ応援したくなる。
・刀自VS警察の推理合戦。誘拐をどう成功させるのかという見せ場が肝
・日本全体を巻き込み出した時、社会的な部分が出てきて、そういったスケール感で描けるというところに感動
【こういう人におすすめしたい】
・本当に面白い小説を読みたい
・人が死なないミステリを読みたい
・「大誘拐読んだことないの?」と人に言いたい
【この小説から学んだこと】
・主人公がおばあちゃんでも、魅力的な物語は書くことができる
・物語は手に汗握る展開であるべきである
・老婆VS警察と思いきや、徐々に日本中を巻き込むような舞台設定になっており、規模は大きければ大きいほど面白いことがわかった
【個人的な好み度】
★★★★★
コメント